自壊メモ

自戒してるうちに自壊してました

外国の国家機密の管理を監督する機関はどのようなものか

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特定秘密保護法案に関連して、「重罰となる『漏洩の定義』」の日米独仏英間の比較をした上の画像*1を目にして以来、諸外国の国家機密管理を監督する機関がどのようなものなのか、ずっと気になりつつ、調べっぱなしで何もまとめずにいたので、ここらでもう少しだけ調べて、国ごとの記事としてざっとまとめるつもり。

アメリカでは、National Archives and Records Administration*2 に属する Information Security Oversight Office (ISOO, 情報保全監察局) が National Security Council (国家安全保障会議)の方針・指示のもと、政府全体の秘密指定制度と National Industrial Security Program*3 の方針・監視に責任を負っている*4。ISOO が具体的に何をしているかは、ISOO 公式サイトによくまとまっている。

  • 国家安全保障に関わる情報の機密指定、機密指定解除、および機密保護のための機密指定方針の策定
  • 国家安全保障にとってきわめて重要な情報を保護するために政府や私企業が策定した機密指定方針の有効性の評価
  • Controlled Unclassified Information*5 の保護についての統一方針・手続きの策定

また Interagency Security Classification Appeals Panel (ISCAP, 省庁間機密指定抗告審査会) が以下のことをやっている。

  • 政府職員による各政府機関の機密指定方針に対する異議申立ての審査
  • 25年を経過した機密指定の自動解除*6からの政府機関による除外申請の審査
  • 政府機関に却下された情報公開請求の審査

ISCAP は基本的に国務省国防総省、司法省、国立公文書記録管理局、国家情報長官事務所、および国家安全保障補佐官それぞれが任命する6名からなる。

と、ここまで書いたところで、日本語でググったら国立国会図書館がとっくに「諸外国における国家秘密の指定と解除―特定秘密保護法案をめぐって―」という立法調査資料をちゃんとまとめていることを知った。いいもん、自分で調べて初めて抱く疑問とかきっとあるもん……

*1:画像で挙げられている各国の定義を具体的に書いておくと、日本は「特定秘密の漏洩」、アメリカは「外国政府への漏洩」、独仏は「外国勢力への漏洩」、イギリスは「敵に有用な情報の漏洩」。

*2:国立公文書記録管理局。 議会と政府の記録を archive している独立した政府組織。

*3:国家産業安全保障制度。政府の事業を行ったり許認可を受けたりする私企業が扱う政府の機密の保護を、経済に資するよう効率的に行う施策。

*4:Executive Order 12829, Executive Order 13526, Executive Order 13549(リンク先pdf), Executive Order 13587

*5:保護を要するが機密指定されていない情報。Executive Order 13556 によって統一されるまでは、各政府機関ごとにバラバラの管理指定がなされていて、その区分は合わせると100以上だった。

*6:Executive Order 13526 に基づく。